毎日新聞日曜くらぶ「異界ゆらゆら心めぐり」

MAINICH

本当の自分に出会う手助け―佐藤式気功

1997年7月6日掲載

「グルグル、グルグル、うず巻きのなかに入って行~くぅ。アー、とて~もKIMOCHIがいい-。こまかい星クズ、地球をぬけて… 私は地球を上からみていま-す。青っぽ~い地球です。……、私は軽~くなってきました。ここはどこかしら? とてもきれいなところ、白い粒子、真っ白な粒子、光のセカイです。もう何も考えたくない、考えるヒツヨウもな~い」

患者が寝ている。静寂をいつくしむようにやすらぎの曲がプレーヤーから流れている。寝台上の患者は、独り芝居を演じる役者のように、感情豊かに魂の奥から聞こえてくる言葉を語り続ける。頭のてっペんに親指を添えて「ピュー」と気を送り込むことで、患者の魂は肉体から離れて、地球の外へ飛び出し、光の中を遊泳しているのだ。

「気功」。気を養い、体内をめぐらせることで、身心の健康を得る、中国で誕生した鍛錬法である。この気功をもって佐藤眞志さん(48)は瞑想の世界に患者をいざなう。そして本当の自分、つまり″意識″のなかで魂の本質に出会えるよう、手助けをするのだ。

それは臨死体験、さらには過去生(前 世)を呼び出す退行催眠と似ているところがある。臨死体験では肉体的苦痛から開放され、自分の肉体を自分が天井の方から見ていて、やがてトンネルを抜けて、光を見、精神的にも開放されて、至福感を味わう。退行催眠では幽体離脱した精神は過去世の自分を思い出し、苦しさから解き放たれ、病気の原因を納得すると、病気が治りもする。

佐藤さんの気功(佐藤式気功とよばれる)は、患者に気を送ることで、瞑想状態に入り、精神は地球の外側に出て、心の傷・不安を癒し、肉体的な開放感にひたる。やがて患者の意識はトンネルを突き抜けて白色の光と出会い、自分が微粒子感覚となって宇宙的な至福感を味わうという。そして多くの患者は気功中、自分の本質を見たような「懐かしい」気持ちになる。

気功を体験した会社員、K・0さん(59)は「目覚めたあと余韻があって気持ちいい。細胞が活性化して、血液がきれいになった気がする」という。 佐藤さんは潜在能力の開発に興味を持ち、脱サラして直観力を高める訓練をするとともに、東洋医学も2年間勉強した。7年前に友人の体に気を送ると、肉体感覚を喪失する現象が起き、変性意識状態(瞑想状態のこと)になったのだった。

この気功を佐藤さんは科学的に裏付けるために、電気通信大学、東北学院大学、東北大学などの研究室やソニー生命情報研究室と共同実験を重ねた。
そして面白いデータを得た。気を発している 時、脳波計にリラックス効果 があるアルファ波が脳全体に、また安眠効果のあるデルタ汲が前頭葉に、いずれも強く表れた。ほかにもさまざまな反応が、心電図や血庄計などの人体測定機器に出たのである。

昨年、共同実験した東京電機大学の 町好雄教授によれば「佐藤式気功は普通 の気功とまったく違う。気が精神作用のどこかのチャンネルに入り込めるのでしょう。とても奥が深い。宇宙を飛ぶなど遠い世界を精神が旅する体験者の様子が、測定機器に反応して、心の動きがデータとして分かり、非常に 興味がある」と語る。

この気功を心の治療に応用することに佐藤さんは意欲的である。苦痛を伴わず、体が軽くなって、変性意識状態になることで、リラックスでき、至福感にひたれる特徴を生かして、ホスピス、またすさんで″いじめ″などに走る青少年の心のケアに役立てる努力を 重ねている。
【紀津 義昭・写真も】

赤ちゃんのように頭寒足熱 記者も体験

筆者も佐藤式気功を体験した。「気」を受けると頭のてっぺんが熱くなり、やがて頭から熱が引くと、足の裏がジーンと温まり、心がじわっと安らぎが広がった。もちろん初体験なので、己の精神が宇宙へ旅に出ることはなかったが、赤ちゃんと同じ状態の頭寒足熱になった。大人は知性をつかさどる左脳の発達とともに頭熱足寒になるが、赤ちゃんはイメージ、感性、想像を支配する右脳が中心。その世界に佐藤式気功がいざなうのだろう。