「気功全書―頼れる気功師90人」掲載 著 池田 弘志 芸術出版社
TBSテレビ系列の『見ればなっとくキレイになる心のカでオンナが変わる』をご覧になっただろぅか。平成11年2月23日・夜8時から放映された番組である。あの番組で東京都『佐藤気功センター』佐藤眞志さんは、気功で女性を美肌にする実験を見せ、女性たちからヤンヤの喝宋を浴びたものだ。佐藤さんにとって、あのくらいのことは序の口だ。佐藤さんはにわかには信じがたい、精神作用を与えることが出来る稀な気功師として、気の学者や研究者の注目を集めている人物なのである。その一例を上げただけでも、ビックリすることだろう。
佐藤さんは遠くにいる複数の人達に、一度に気を送ることが出来る。
佐藤式気功を受け、気功治癒の状態に入ると、被験者(患者)は容易に深い瞑想に入り、患者は往々にして幽体離脱や臨死体験をするというのだ。
幽体離脱とは、映画などで見たことがあるでしょう…・本人はベッドに横たわっているのに、その自分を天井のあたりから見ているもう一人の自分(霊的存在?)がいるというあの光景だ。
臨死体験とはあの世に渡りきる寸前で、この世に戻ってきた人の体験談などで、三途の川を渡り、暗いトンネルをくぐつて、あの世(?)に翔んでいくと、美しい花園があり、聖人聖者やご先祖さまにめぐり合い……という類のアレです。
幽体離脱も臨死体験も、評論家・立花隆さんが取材して、著作『臨死体験』にまとめ、話題になったのは数年前のことだった。ただし、佐藤さんが気功で導くそれは、本当に死に臨むわけではない。 意識が肉体や現実世界から解放されて、神秘の世界をのぞき見るのである。
この佐藤式気功の臨床実験の一つは、佐々木茂美東海大学教授(当時・電気通 信大学)と(株) ソニー生命情報研究所・佐古曜一郎さんなどが、1993年2月から11月までの約9カ月間、電気通 信大学・実験室で11歳から64歳までの男女延ベ150人の協力を得て行った。その実験報告は学術論文に記載されている。
この佐藤式気功の評価を、受け手の一人、富山県魚津市の『広瀬耳鼻咽喉科』広瀬淳一院長にコメントしてもらうと、 「施術を受けた後、幸福感と陶酔感が残ります。心療内科など、心の病気や精神・神経病の患者に効果 があると思います。私も臨死体験をしたことがありますが、いつも必ずそうなるということではありません。再現性は100%というわけにはいきませんが、非常に貴重な体験が出来ることは確かです」 この7年間の施療を通 して、約2000人の受け手のうち瞑想状態に達した人は54%。幽体離脱した人は15%と、佐藤さんは報告している。
「幽体離脱も臨死体験も私の気功でありましたよ」と肯定するのは、東京女子医科大学の阿岸鉄三教授だ。阿岸さんが自分の患者に外気功治療を施すことは第五章に詳しく述べた通 り。その阿岸さんはある男性患者に気を送ったところ、 「その人は暗いトンネルに引きずり込まれ、飛び込んでいったら、明るい花が咲き乱れている野原に出て、そこから引っ返してきたと言うんだ。えっ、それは立花隆さんが本に書いたことと同じじゃないか、とビックリしてお互いに顔を合わせていましたよ…まあ、我々医者の世界で、臨死体験をあれこれ論じても仕様がないかも知れないが」と阿岸さんは一度だけあった例を打ち明けてくれた。有力な学者が認めているくらいだから、怖いことは何もない。ちゃんと地上の普段の自分に戻れます。
佐藤さんは福島県の電力関係の会社のサラリーマンだった。30年半ばで潜在能力の開発に興味を抱いて、あるセミナーを受講。東洋医学を学びながら、潜在能力を高めていくうちに、素晴らしい能力をさずかったという。佐藤式気功を受けた人々に共通 した感想をまとめると、次のようになる。
- 死への恐怖心がなくなる。
- 思いやりが生まれてくる。
- 社会貢献に積極的になる。
自分一人のカで生きているのではない、大自然の恩寵によって生かされていることに気づかされます。
そのことへの感謝の気持ちから、この世自分のなすべきことは何か、と心をゆさぶられるのです」と筆者が会った被験者はそう答えた。佐藤さんの抱負は「私の気功を受けると、多くの人が幸福になったとか、世のためになることをしたくなるとか言います。世のためにつくしたいと思う人が一人二人と増えて数を増していけば、日本の社会がもつと良くなっていくと本気で考えて佐藤式気功の普及に努めています。佐藤式気功の練功は難しくありませんよ」
筆者の体験では佐藤さんの気功を受けると、腹の底から充実感がみなぎってくる。自己のアイデンティティがしっかと確立してくる。しかも子ども時代のような無垢の幸福感とやすらぎを得ることができた。佐藤式気功は病気の癒しはもちろんだが、精神的能力の向上に本分があるようだ。画家などの芸術家が、瞑想や臨死体験をすることによって、創造力を高める効果 があるとの報告が珍しくないという。
佐藤さんと共同実験した東京電機大学の町好雄教授は、佐藤式気功について「普通 の気功とはまったく違い、気が精神作用のどこかのチャンネルに入り込めるようだ。宇宙を飛ぶなど未知の世界を精神が旅する被験者の心と体の反応の変化が、心電図や脳波計などの測定機器ではっきりつかめます」と強い関心を示す。
大変ユニークな気功法なので、肩こり、腰痛などのありふれた病気の癒しは佐藤さんの本分ではない。〃いかに生きるか〃という悩みや、仕事の行き詰まりの打破など精神的な問題の解決に寄与する気功のようだ。自閉症や老人のボケの治癒も期待される。また、ホスピスや非行少年などの心のケアにぴったりではないか。21世紀の最先端をいく気功師として、佐藤さんの今後の活躍に目をはなせない。
老人と気功医療
「老人はえてして頑固なものです」と語るのは茨城県の『高萩それいゆ病院』院長・永井卓さんだ。
「この病院の患者は老人が主体で、患者さんによいことは何でもやろうという”何でも屋病院”です。尊厳死、精神科、東洋医学など良いと思うことはすべて実践しているつもりですが」と次のような笑い話ふうの事例を上げる。
東京都『佐藤気功センター』佐藤眞志さんの気功がリハビリに大変に効果 がある、と患者の体験談を耳にした永井院長はさっそく杖なしでは歩けない老女(変形性両膝関節症)に対して、気功を患者さんや看護婦などの職員たちの眼前でデモンストレーションをしてほしいと佐藤さんに依頼した。
70歳すぎのこの老女は病院の中では特に頑固者で知られていた。外気功を施療中も後も老女は面 目躍如、「何の変わりもない」と言い捨てた。ところが「そのお婆さんは杖を使わずに、スタスタと歩いているではありませんか」と永井さん。その瞬間、周りが哄笑の渦になったという。
その後、老女は完治したとはいえないものの、以前とは比較にならないほど楽々と歩き回っているという。老人医療はけっしてキレイごとではすまないことも、忘れてはならない。