「気功全書―頼れる気功師96人」改訂版掲載 著 池田 弘志 芸術出版社

気功全書
東京から仙台まで、遠隔療法実験が見事に成功!

体の病気、ガン・難病の臨床例 !健康づくり、教育効果、気功師養成期間、遠隔地への送気実験等 !
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この実験は平成12年6月から10月にかけて8回行われた。
実験に携わった学者は東京工業大学・樋口雄三教授、東北学院大学・木戸眞美教授、日本医科大学・河野貴美子研究員(国際生命情報科学会副会長)の三氏。その実験の成果の一部を、生命情報科学シンポジウム(第11回~12回)で発表された論文からわかりやすく抜粋してみる。

送り手と受け手の脳波が似ている

送り手と受け手の脳波が似ている

最初に河野貴美子研究員が行った、気の送り手(気功師)と受け手(患者)との間における、脳波の相関関係を調べるための実験からご紹介しよう。この実験は東京都大田区の日本医科大学研究等にいる佐藤眞志気功師から4kmほど離れた世田谷区の東京工業大学・屋内体育館にいる男性H・I(63)に気を送ったもの。

左図は気を送ったり、中断したりしている間の両者の脳波の動きを記録した折線グラフだ。この脳波はリラックス状態で現れやすいα波の右側頭部における振幅値の推移を示す。いかがであろうか、送り手の脳波の動きに受け手の脳波が追随する感じで、両者は似ているといえないだろうか。似ているとすれば、遠隔からの気は受け手に届いていることの証明になる。

ちなみに、受け手に、この実験の開始時間は知らされているが、40分間の実験の間に送り手が気をいつ送る(送気)、いつ止める(中断)かに関する情報は受け手に知らされていない厳しい状況下での実験である。

ストレスホルモンが減少し、免疫力(NK)が向上した

二番目に紹介するのは樋口雄三教授が行った実験。実験では気功法の異なる気功師三名による遠隔送気(遠隔療法)を行い、それぞれ二名ずつの受信者(受け手)の静脈血中のコルチゾール、ノルアドレナリン、ドーパミン、βーエンドルフィンなどの内分泌とナチュナルキラー(NK)細胞、その他の免疫能の変動を測定した。

ストレスホルモンが減少し、免疫力(NK)が向上した

右図は佐藤眞志気功師が中央大学八王子校舎から気を送り、約2km離れた佐藤気功センターにいる男性H・I(63)が、その気を受けた反応を記録したもの。この実験は三段階に分けて肘静脈から採血を行った。すなわち

1.実験開始して、安静40分間後の採血。
2.40分間の気を受けた直後の採血。
3.送気終了から安静40分間後の採血。

では下図をご覧いただきたい。

気の受け手6名の数値を統計処理したのが●印で、コントロール(対象群:気を受けずに採血された学生群)の数値は★印だ。両者を比較すると、●印の方はノルアドレナリンとコルチゾールが優位に減少し、アドレナリンも減少傾向を示している。「このことから、受け手はストレスが緩やかになり、リラックスし、交感神経活動が低下していると考えられる」と述べている。ということは、ストレスという現代病の元凶から、気功は私たちの心身を守ってくれることを示唆している。

この気功の効果は樋口教授が内気功や対面式外気功による実験で、つとに証明したが、同じ現象が遠隔療法によって可能になることを、確認したわけである。樋口教授は第12回シンポジウムで、『免疫動態の変動』、すなわちナチュナルキラー(NK)細胞などの免疫能力の測定も行っている。そして、対象群に比べて受信者の免疫能力が有意に増加したことを報告している。

気は呼吸器、循環器、消化器、そして自律神経を活性化する

最後にご紹介するのは、遠隔療法の極めつけとも言うべき、東京都日野市、佐藤眞志さんの『佐藤気功センター』から、300キロメートル以上離れた仙台市の東北学院大学物理実験室への遠隔療法の実験である。

この実験は、単一矩形パルス法という皮膚に流れる微小電流を測定する方法で、受け手の経絡のツボから心身のバランスや自律神経機能の情報を得たり、近赤外線分光法で脳内の酸素代謝の変化の計測を主目的にした。具体的には、受け手の頭や上丹田、中丹田、下丹田や14経絡のツボ、手足28箇所などに活電極を張るなど、ちょっとしたスパゲッティ症候群ではある。

木戸教授は受け手から、この実験に受ける身体感覚や浮かんでくるビジョン、意識状態などを受け手自身の言葉で表現してもらい、データと合わせて分析しているが、ユニークな試みであると学会で高い評価を受けている。

この実験を木戸教授は二回にわたって行い、被験者・気の受け手は合計4名だが、論文にまとめたのは、遠隔療法に顕著な反応を示した受け手の男性、H・Iと女性A・A、2名のケースだけ。その2名のうち、今回の実験まで、気功という言葉も知らず、気功師との面識もなかった女子大生A・Aさんのケースを中心に紹介した。ちなみにA・Aさんはスリムな長身のなかなかの美女だ。

この実験は平成12年10月上旬、午前10時からスタートした。図表3aは遠隔療法の気を受けたIさんの上丹田(眉間の中心、第三の目あたり)と、中丹田(胸腺のあたり)、下丹田(へその数cmの下)の皮膚の表皮(AP)を流れる電気伝導量の変化・推移を記録したもの。図表3bは同様に表皮の下の真皮(BP)における変化・推移を記録したものである。

Aさんの場合は、実験開始直後に上丹田の電極を落としてしまったこと。また、Aさんの図表に比べるとIさんの図表の方がより見やすいので、Iさんの図表を提示することにした。ただし実験中の反応はAさんとIさんはよく似ている。

二つの図表の実験開始後、10分経過したあたりをごらんいただきたい。下図の折れ線グラフが急激に動き始め、以降活発に変動していることがわかる。この実験の開始時間と、実験時間が1時間で終了することは受け手に事前に伝えられていたが、盲検法と呼ばれる実験方式で、気功師がいつ気を送ってくるか中断や停止があるなどの詳細は一切知らされていない。受け手は簡易ペットに横たわって、ひたすら心身の安静を待ちながら気がくるのを待つだけ。

気は呼吸器、循環器、消化器、そして自律神経を活性化する

東北学院大学・木戸眞美教授の支持で、実験時間になっても、当初しばらく気功師は気を送らないままブランク状態が続いた。受け手の方は、そんなことは露知らない。そして、10分が経った。予定のブランク時間を終えて、実際に気功師が気を送ってきたのは実験開始10分後だった。もう一度Iさんの図表で、10分経過あたりからの急激な変動を確認していただきたい。

初めの数分間はほぼ一定で、気を受けた10分~40分に変化を示していますね。「このような変動は受け手がベットに横たわっているだけでは観測しにくいので、気を送られているから図表のような変化を示すのです」と木戸教授は解説する。もし、受け手が気を受けなくても、とにかく何らかの影響・刺激は受けず、平常どおりの状態でいるならば、右図に見られるような伝導量の変化はありえないはずだ。その場合、折り線グラフはほぼ横ばいのまま親交するだろう。したがって右図は受け手が明らかに遠隔から気の影響を受けている証明になるわけだ。

気を受けている間のAさんの心身の反応を言葉による表現を、木戸教授は書き留めて論文に発表しているので、その一部を紹介したい。

気を送ってから15分には一度首を振り切り、16分に背にのけ反った頃から佳境に入ったという印象を受けた。この時点で中丹田、下丹田ともにAPがピーク値から急激に落ちる微分的な変化が見られた。

(中略)

28分から32分に分けては、「お腹が動き出し、痛くはないがお腹が上から押されている感じで「大きなボールに押されているようだ」とAは明言。交感神経緊張の指標となるAPは増加してから減少した。

(中略)

37分になると「左に明るい光が広がってきて」39分には「左側だけがいきなり眩しい。自分の力ではなく、首が動かされる」Aが光のイメージを見ている間は底値で、副交感神経優位の安静状態と考えられる。気功の遠隔治療が終了した時点で被験者は「ハーッ、一段落」とため息をつき、気功の終了を自覚したと見れる。
「今度は図表3の40分経過のあたりの折れ線グラフをご覧いただきたい。急激に数値が低下傾向に入ってきたことが、一目でわかるだろう。実はこの40分経過したときに、気功師は遠隔療法を停止したのだ。IさんもAさんの場合も停止後で気の余韻による興奮がいささか残存していることが見て取れるのが、いかんにも人間的である。
「Aさんは実験開始後すぐに首を振る、腰をひなるなどの動きが強く、上丹田(額の中心)に付けた電極が外れるほど、遠隔療法に対する強い感受性を示しました」と木戸教授は語る。

ではそういう挙動はAさんにとって、どんな意味、メリットがあるのか。木戸教授は、「気による丹田への刺激は呼吸器、循環器、消化器、そして自律神経の動きが活発化され、その影響がAさんの心身に反映されたのではないか、と考えられます。それだけでも遠隔療法は効果があるのかも知れません」と述べ、また遠隔療法には副交感神経を優位にしてリラックス感をもたらす、脳内酸素の供給を良くするなどの効果があるように見えるとのことだ。

Aさんも「気を受けたことで不思議な心身の現象を体験しましたが、持病の偏頭痛や腰痛がすっかり楽になりました。自分の体が自分を癒す方法を知っていて、気を受けると、自然と実験のときのように体のパフォーマンスを演ずるのだと私は考えます」と笑顔で語っている。誰もが持っている自然治癒力を遠隔療法が喚起されたということだ。

とはいえ「すべての人が実験のような効果を受けるとは言えません。遠隔療法は受け手の感受性や気功師と受け手の相性によって効果が異なると考えられます。また、4名の被験者のうち、微妙な反応しか示さなかった2名の受け手の場合は、今後の経験を重ねていくことによって、遠隔療法に対する気の感受性が高まり、反応が次第に強くなっていく可能性も考えられます。そのようなもろもろの可能性を考慮しながら、実験方法の多様化などを含めて、実験を続ける必要があります」と木戸教授は抱負を語っている。